パウロ ビニシウス ケイロスソウザ
Human to Humanのつながりを大切に、海外の環境課題に挑む
~多様性と真摯さを軸に持つ、ユニークな研究員の魅力~
クライアントを導く仕事である。
廃棄物管理チーム
パウロ ビニシウス ケイロスソウザ
2016年入社
大学院 環境科学研究科(博士)
入社後の主要業務
- 1年目
- ロシアでの循環産業の国際展開関連業務(国)
- 2年目
- インドでのプラスチック廃棄物の再資源化関連業務(特殊法人)
- 3年目
- モロッコでの都市廃棄物処理戦略策定関連業務(特殊法人)
- 4年目
- モザンビークでの最終処分場安全向上方策実現支援業務(国)
当社に入社するまでのキャリアがユニークだと伺いましたが
ブラジル出身です。日本で高校2年に当たる学年からノルウェーに留学しました。ノルウェーでは国際学という学科で勉強内容が特殊でした。全科目をひととおり勉強するのではなく、歴史などの特定の科目を大学レベルの難易度で学ぶ、といった形式でした。ブラジルに戻って、サンパウロ大学に入学して経済学を専攻しましたが、当時は自分がやりたいことが何なのか分かっていませんでした。もともと歴史が好きで、たまたま大学で日本史、中国史を学んでいたのですが、日本で日本史を日本語で学べる文部科学省の奨学金を得たのをきっかけに、サンパウロ大学を中退しました。
1年間日本語学校に通ってから2002年に大学に入学しました。あこがれの日本史を学ぶことになり、はりきって日本史を日本語で勉強しましたが、本当に大変でした。結局漢字アレルギーになってしまい、大学院への進学は全く考えませんでした。卒業後、せっかくなので日本で仕事をと思い、東京のベンチャー企業でカーボンオフセット関連の業務に関わりました。その時、人生ではじめて自分がやりたい仕事のキーワード「環境」が見つかったのです。働いている間に知識不足を感じ、大学に修士として戻り、博士に進みました。博士号取得後半年大学に残り、その後エックス都市研究所に入社しました。
当社への志望理由は?
やりたい仕事のキーワード「環境」に関わる仕事だから、というので明確でした。大学で研究を進めることも考えましたが、民間に戻ることにしました。
修士課程の指導教授が紹介してくれました。と言っても、こういう会社もありますよという程度の紹介でしたが。パンフレット、ホームページも見て、応募しました。「国際コンサルティング事業本部」という名称が目を引きましたね。国際コンサルティング事業本部の事業の概略が、英語できちんと載っていたのも注目ポイントでした。他社を見ても、あまりきちんとは載っていないのです。国際コンサルティング事業本部はただ単に名前だけでなく、しっかりした中身もあると感じたのが印象的でした。実際に面接の際にも様々な部署の部長などとも接して、当社への印象はより良くなりました。
特に思い出に残っている業務を教えてください
最初に携わった仕事は、モスクワ(ロシア)の焼却施設に関する実現可能性調査でした。報告書の一部を自分が書いたのですが、その中身が良かったからというわけではなく、日本語でアウトプットを出したという初の経験として強く思い出に残っています。修士、博士論文は英語で書いてきており、国の業務で求められている日本語の文章を書くのは本当に大変でした。きっと日本人にとっても大変だと思います。在日18年になり、在職1年目よりはだいぶん日本語は上手になってきていますが、今でも難しいと感じます。
所属組織を紹介してください
私が所属している国際コンサルティング事業本部は、国内業務中心の部署とは少し異なっていると思います。クライアントがJICA(国際協力機構)か、その他クライアント (国、民間企業など)かで、2チームに分かれていますが、それほどチーム制が固まっていません。プロジェクト内容に応じて各チームからメンバーを配置し、複数のプロジェクトを同時並行で進めるという形式です。
組織対応よりも個人対応が多いということですか?
入社時はその様な感じでしたが、最近はチーム対応でという方向性になってきています。エックス都市研究所自体、個人力が高いというか、皆頭が良いので、組織力より個人力が特徴なのではないかと自分では思っていますね。
たしかに、チームでやると調整も必要になるのでその分大変にはなりますが、どれだけ優秀な人でも1人でやれることは限られるので、チーム制にすると個人への負担は減り、ウィンウィンだと思います。大学院生の時には、自分は研究をほとんど1人でやっていましたが、理系の人は実験だといろんな人と協力できるのが良いなと感じていました。そうした経験からも1人だとつらいので、より大きいことができる組織対応の方が良いと思います。ですので、最近のチームでやろうという方向性には賛成です。
仕事のやりがいは?
現場の仕事がとても好きです。報告書だけを書いていると、正直なところ本当に読まれるのかなと思ったりします。200ページ書きました、成果物です、で終わってしまいます。現在自分が関わっている現場の仕事は、発展途上国の処分場の改善です。日本と途上国の処分場はだいぶん違い、途上国ではオープンダンピング場、いわゆるごみの山で人々が暮らしています。自分が実際に携わっている仕事で現場が改善でき、human to humanの関係で言葉が通じなくても通じ合える、関われるといった点にとてもやりがいを感じています。
将来的な目標を教えてください
まずは自分が自信を持って研究員として仕事を獲得し、自分で管理する、というところまでを近い将来の目標として目指しています。その後はどうなるのか分かりませんが、良い流れが自然に来ると考えています。
入社前と入社後のギャップはありましたか?
ギャップは全くなかったですね。「環境」という明確な目的があったので。
大学院で研究した分野は森林保全や統計経済などでしたが、現在関わっている仕事の分野とは全く関係はないです。今行っている仕事は、海外の廃棄物関連業務が主です。廃棄物も私の興味のある「環境」の一部なので、楽しいと感じています。
当社の社風を教えてください
個人的に、この会社は基本的に人が良いと感じています。よく聞く話でイジメ、ハラスメントとかがありますが、もしかしたら当社にもあるかもしれませんが、自分が見たり聞いたりしている範囲ではないです。
外国人の社員として当社をどう思いますか?
エックス都市研究所で働いて思ったのは、外国人を珍しがったり、特別扱いしたりする反応がなかった事です。特に国際コンサルティング事業本部は皆が同じようなバックグラウンドを持っているので、やりやすいです。とは言えクライアントは日本人なので、報告書などは日本のやり方、基準に合わせないといけない。日本語と日本の文化に合わせないといけない、というのがこの会社で働く外国人の難しい点かと思います。
内定者インタビュアーの感想:
自分の関心に真摯に向き合う人である。インタビューを通して、パウロさんのこういった人となりを感じました。ブラジルに出自をもち、ノルウェー、日本と様々な土地で暮らしてきたパウロさんですが、環境の仕事に興味を持ったのは、学部卒業後にベンチャー企業で働いてからとのこと。環境の仕事をしたいと思い、もう一度大学に戻り力を身に付けた。そんなパウロさんのキャリアのユニークさは、単に日本に出自を持たない「外国人らしさ」に由来するだけでなく、自分が見つけたやりたいことにまっすぐに取り組んできた懸命さにも由来するのだろうと思いました。仕事のやりがいを、実際の現場と関わっていけること、「human to humanのような」関係に見出すパウロさんの姿勢には、多様性と真摯さを軸に持った研究員としての魅力を感じました。
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