關 佑也

「持続可能な自治体経営を目指して」
~エネルギー自給自足の重要性~

研究員とは
社内外の知見をフル活用して課題解決・価値創造を推進する人である。
北海道事務所 兼 事業開発関連部門
地域・環境創生マネジメント推進室
副主任研究員
關 佑也
2023年入社
大学院工学研究科都市工学専攻(修士)
入社後の主要業務

1年目
環境配慮型コンクリート・セメントの利活用に向けた基礎調査業務委託(A市)


今45歳で、入社したのは約1年前の2023年11月です。大学院で都市デザインを専攻後、都市計画・都市デザインのコンサルタント勤務、その後経営破綻した旅館・リゾートを再生させる運営会社で働き、そのあと関東圏の政令指定都市の市役所で公民連携によるスポーツ施設や観光施設の再整備・運営に関する業務等を担当して10年半働いた後、当社に入りました。所属は地域共創部門の北海道事務所、それから兼務で事業開発関連部門の地域・環境創生マネジメント推進室という部署です。
趣味はアウトドア・キャンプ・登山・料理などで、本社のメンバーも先日北海道に来ていただきまして、一緒にキャンプと登山を楽しみました。

ファシリテーター
日本百名山の1つ、羊蹄山に登ったんですよ。


山もですけど海や川も好きで、市役所勤務時は横浜のみなとみらいのインナーハーバーエリアでボランティアでSUP(サップ)のインストラクターをしていたこともあります。

北海道に行くことになった経緯と北海道事務所がどういったものなのか、役割や実際にどういうことをされているかをもう少し伺ってもよろしいでしょうか。

北海道に行った経緯は、健康上の理由です。27歳ぐらいにアレルギー性の咳喘息が発症して、特にここ数年は年々症状がひどくなり、12月から6月ぐらいまでずっと、背中が痛くなるほどひどい咳が続くようになってしまいました。ちょうど昨年の5月頃、登山で泊まった山小屋で夜中に咳き込んでいたときに、「スギ・ヒノキ花粉の少ないところに引越したら~♪」っていう神の声が聞こえた気がして。当時従事していた仕事がひと段落したタイミングだったこともあり、転職活動を始めました。
農林水産省のホームページで確認したところ、主要なアレルゲンのスギ・ヒノキ花粉の飛散量の少ないエリアは北海道か沖縄ということがわかり、人材紹介会社に登録して転職先を探しました。北海道で募集していた当社とご縁があり、入社させていただきました。
北海道事務所は、実は地方事務所の中でもかなり新しく、現在3年目です。再生可能エネルギーなどポテンシャルが高いエリアということもありますし、これからいろんなビジネスチャンスがあるだろうということ、また北海道は179の自治体がある中の7割が消滅可能性の高い都市ということもあり、環境・エネルギーと地域創生の両輪で取り組んでいこうという社内の方針がありまして、それを具現化してくための案件の掘り起こし、協業できる事業者さんとのネットワークづくりなどに取り組んでいます。今まで自分はエネルギー、廃棄物関連には全く触れてこなかったのですが、本社や他の支店・事務所のスタッフと連携しつつ業務を通じて学ばせていただきながら、自分の経験を活かせるところ、立ち位置を常に模索しています。

市役所に10年ほどおられて行政と民間どちらも経験されていますが、關さんなりにどういう違いがあるのかお伺いしたいです。

自治体職員はその地域にずっと密着して、逃げられないんです。個々の経験や専門性も限られてくるので、いろいろな専門性を持つ民間企業等と連携しながら、市民満足度の向上と自治体の財政健全化を両立するための最適解を模索し実行することに、一番責任を持って取り組む職場が地方自治体だと考えています。そのため特定領域についての深い専門性よりも、技術、才能、情熱がある民間の方々とうまく連携して事業を動かしていく勢い、気合い、忍耐力、推進力、それが大事なのが自治体職員だと思います。
民間は、例えば当社のようなコンサルタントと一緒にこの課題を解決したいと思ってもらえるようになるためには、専門領域やその周辺領域に対して誰よりも知識を持っていて、かつ、実行力と情熱もあって、プロジェクトを動かすのを一緒に伴走してほしいと思える人でないとなかなか自治体職員側も信用しきれない、そう実感しています。それがコンサルタントとして求められる部分だと考えています。

地域密着型で行ってきた市から民間に異動して教わりながらとおっしゃっていましたが、行政側の視点も持ち合わせているということで前職のスキルや知識が活きた経験は具体的にありますか。

民間での経験と、地方自治体での公民連携の業務経験から、例えば廃棄物処理施設をPPP/PFI、公民連携手法で再整備していく時に、民間事業者と行政の間に立って「通訳」として対話や調整ができるのではないかと考えています。あと前職の地方自治体は公民連携で日本の中でもトップランナーだったこともあり、例えば民間企業と地方自治体職員が直接対話をしながら事業スキームを詰めていく機会である「サウンディング型市場調査」を日本で初めて開発した自治体なのですが、その調査を結構やっていましたし、庁内の様々な事業所管課に対してアドバイスもしていました。その手法は地方の自治体ですとまだ知られていないこともあり、現在の担当業務では自分が中心になって企画運営をしています。これまでの経験が活かせることはまだまだあると思っているので、社内の様々な専門性をもっているスタッフと連携しながら、業務を通じてお客様である自治体や企業、市民の方々に貢献できるような、自分しかできないことを引き続き模索していきたいと思っています。

今の回答と重複する部分もあると思いますが、これまで市の職員を経験されて転職先として北海道の市区町村職員も選択肢としてあったと思いますが、個人的なご自身のなりたい将来像を踏まえて、なぜ民間に異動したのかを教えていただけますか。

北海道の行政は受けたのですが落ちてしまいました(笑)。条件面を考慮したということもあります。 また、私が地方自治体を辞めた時期はエネルギー費用が高騰していたために、公民連携で運営している指定管理施設やPFI運営の施設などで運営事業者さんに非常に負担がかかっているのに対し、市が財政補填をしていました。結局エネルギーを化石燃料等に頼って輸入して、社会情勢の影響もうけて調達価格も不安定で海外にお金が逃げてくような仕組みは、自治体経営としても持続可能じゃないと再確認したタイミングでした。
私の一番の一貫した問題意識の中心は、「持続可能な自治体経営」なんです。エネルギーの自給自足はとても大事だと感じていたのです。そんなタイミングでたまたま当社という会社を人材紹介会社から紹介いただいて、エネルギー関係は全く門外漢なので不安はあったものの、快く受け入れていただいたということと、また、公民連携の経験を活かして欲しいと言っていただいたので入社を決意しました。45歳というタイミングで環境・エネルギーという異分野に飛び込んでいくのは周りからも大丈夫かってよく言われたんですけど、もう踏み込んじゃったからには自分の人生自分で正解にしていくしかないということと、また、ココ・シャネルさんの「退屈より大失敗を選びなさい」という言葉にも触発されて入社を決意しました。自治体での仕事も自分の問題意識に係る大きな業務が一区切りついて、目標を見失いつつあったタイミングだったので、もう1回自分に思いきり負荷をかけて残りの人生、いろいろなことを吸収して楽しみたいなという思いもあり、自治体ではなく当社を選びました。

北海道事務所の構成人数についておしえて下さい。

今3人体制です。業務の実施にあたってはオンラインでも仕事しやすくなっていますので、本社や東北事務所、九州事務所、中部事務所などの地方事務所の様々な専門性を持ったメンバーと連携して業務を動かしています。

環境が大きく変わったと思いますが、働き方や働く人の特徴などは感じていますか。

市役所にいたときは、リモートワークは週2回までしかダメなどいろいろなルールがありました。当社もルールはあるものの、基本的には在宅、出張先などいろいろなところで仕事できるような環境なので、良い面悪い面もちろんありますが、かなり柔軟に仕事しやすくなりました。

一緒に働く方やクライアントの方の印象は市役所の時とあまり変わらない感じでしょうか。

前職の市役所は、優秀で熱い方が多かったんです。私は大学院のときにその市役所でインターンをしたのですが、その時によく「他の自治体でやってないことやろう」というワードを聞いていたんですよ。それもあって将来的にはその市に入りたいと思ったのですが、当時、その自治体の中途採用の年齢制限が59歳まで引き上げられたので、であれば民間企業で10年ぐらい修行して何か武器を磨いてから入ろうと思い、実際には社会人9年目に入庁しました。
現在、業務を通じてやり取りしている自治体の方には、結構のんびりしてるなと感じることもある一方で、財政状況など厳しい環境におかれている自治体ですと危機感をもって真剣に考えていらっしゃる職員もいらっしゃいます。特にそういった方とは、精一杯その業務に取り組むとともにその後他の業務でもご一緒できるよう、信頼関係を築くことを意識して業務に取り組んでいます。

持続可能な自治体経営を実現していくことが目標・夢だと思いますが、それを実現していく中で現在新たについた職の役割、新たな切り口を手にされたと思うので、今後この仕事をどう活かしていきたいか、そして仕事がある程度できるようになったあかつきには何かさらにどの様なチャレンジをしていきたいかがありましたらお聞かせ下さい。

北海道って国立公園、幾つあるか知ってますか?

インタビュアー
分からないです。

最近ひとつ増えて7つあるんですよ。全国でも最も多く、自然が豊かな土地なのです。今、環境省が国立公園の魅力アップに取り組んでいて、例えば道東の阿寒・摩周国立公園の屈斜路湖近くの温泉地でも新しくリゾート施設を誘致するなど、国立公園ごとにリゾート施設を増やしていこうという動きがあります。また「アドベンチャー・ツーリズム」という自然とアクティビティと文化を楽しむツアーの造成に北海道庁等も取り組んでいて、そういった国立公園の魅力づくりや観光振興と、温泉や地熱などを活用したエネルギー自給自足に取り組んでいきたいと思っています。
要は今までの経験をフル動員して、プラスアルファでエネルギーのことも絡めて取り組んでいきたいと考えています。その先としては、全国通訳案内士というインバウンドの方に日本の歴史文化や地理などを紹介するガイド資格を前の職場の時に取ったのですが、将来的には兼業で本業がお休みの日に海外から来られたお客様に対して、北海道のアウトドアライフをご案内するようなこともやっていきたいと思っています。

最後に私からお伝えしたいこととして、最初の行政と民間の話に戻るのですが、専門的なコンサルタントってどうしても部門ごとの縦割りになりやすいんです。一方で自治体では職員が数年で異動しますが、一番の目的は縦割りの弊害を解消することです。様々な職場を経験することで、お互いの部署の良い点・悪い点を理解しあうことが、課題解決や新しい魅力創造をしていくための横つなぎに有効です。
それに気づいたのは、前々職の旅館再生事業会社にいた時にマルチタスクといって、フロント、サービス、客室、調理の4種目すべてをスタッフ全員が経験し、お互いの業務を知っているからこそ、縦割りや上下意識といったものがなくなり業務改善がスピーディーに進みました。
入社された後は他の部門との交流が減ってしまうかもしれませんが、なるべく同期や縦横ナナメの交流を積極的にしていただけると、縦割りを解消し、この会社にしかできない新しいことをどんどん生み出すための礎ができると思ってますので、その点日々気に留めていただけるといいのではないかと思っています。

※研究の都合でタイ訪問中だったため、弊社バンコク事務所から参加された内定者も交えたインタビュー風景

内定者インタビュアーの感想 ①

非常にエネルギッシュな方で目標に向けて強い意思を持って行動されている印象を受けました。比較的高い年齢での転職で周囲の反対があるなか、「退屈より大失敗を選べ」をモットーに行動し、現在北海道で活躍されているそうです。また打ち合わせ1つをとっても、機会を最大限活用するという仕事への姿勢が伝わってきました。
關さんはこれまでに官民両方を経験したということで、対比を交えながらお話くださいました。そして双方の特徴を知っていることを大きな武器として活躍されていると感じました。特に公務員時代の経験を活かして、相手方が不慣れな調査を主導したお話が印象に残っています。クライアントをより深く理解し、「人と人」の繋がりを大切にして強みを発揮できる環境を作り上げたからこそ実現したのだと考えました。

内定者インタビュアーの感想 ②

これまでの経歴と経験がきれいに今後の目標へつながっている方でした。
社会のどのポジションの人がどのような役割を担い、何を求め、何を提供できるかを知っているようでした。また、最近のトレンドを追っていることで、社会に必要かつ魅力的な将来像を描かれていらっしゃるのが印象的でした。
漠然と目標や夢を考えることは簡単ですが、実現が可能な道筋を考えられる方であり、希望のある方がいらっしゃるのは会社の魅力でもあるのではないでしょうか。エックス都市研究所では自ら未来を描ける環境であることが分かりホッとしたのが正直な感想です。

社員インタビュー
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